『みんなでトイレ』

『みんなでトイレ』年少版こどものとも 1997年12月1日号
アンドレア・コーニックスロウ 作   藤田千枝 絵

色とりどりの洋式トイレ、奇怪な動物たちがおのおののやり方で用を足している。どの便器もしみ一つなくぴかぴかに磨き上げられている。

みなさんのおうちのトイレは誰が掃除するの?
香港の学校には「清掃」という時間がない。校務のおばちゃんが教室もトイレも掃除をする。だから、先生たちも生徒たちも掃除は自分の仕事ではないと思っている。

私は上の娘が一年生になったときに配られた時間割を見て愕然とした。朝7時半から始まる授業が、延々と12時半まで続くのだ。それもたった一回のトイレ休憩をはさむのみで。清掃時間も昼食時間も何もない。学校はただひたすら勉強するだけの場所だったのだ。

今朝の新聞で「掃除道入門」という授業を行っている鳥取大学武田修志教授の記事に目が止まった。ドイツ語が専門らしいが、経費節減、人手不足のため自らが教室掃除を行っているという。この講義の最大の目的は、「見て見ぬふりをする生き方を改める」ことだと。私にはかなり耳の痛い話題だが、ぜひとも拝聴したい講義である。「人はなぜ掃除をするのか」のテーマで討論をしたり、トイレ掃除実習もあるというから本格的だ。

亡くなったおじいちゃんも小学校学校長という肩書きを持ちながら、毎朝誰よりも早く学校へ行き、ジャージーに着替えてトイレ掃除をしていたという。だからときどき、校務員さんに間違えられるんだ。

よくよく考えてみると、自分の使うところを清潔に保つという行為は、動物でも実行していること。人間はいつからこんな当たり前のことが、当たり前にできなくなってしまったのだろう?

そういえばここのところトイレに関する書籍や歌謡曲があるらしい。将来、専門は「便所学」ですという大学教授が出てきてもおかしくないほど、日本は今空前のトイレブームである。

2011年5月30日
ある日の日記より