はじめてのおつかい

あまりにも有名な林明子さんの*『はじめてのおつかい』
今回は、うちの『はじめてのおつかい』をお楽しみください。

今は昔。
1976年3月のこと。
うちにはじめて『はじめてのおつかい』が届いた。いつもの福音館月刊絵本こどものともだ。その『はじめてのおつかい』に私の妹が夢中になり、ボロボロになるまで、繰り返し、繰り返し読んでいたのを記憶している。
思い返せば、当時、妹は5歳。主人公のみいちゃんと同じ年。おまけに1歳の弟がいた。彼女は自分をみいちゃんに重ね、物語の中に自分を登場させていたのだろう。
それから・・・・・28年が経過した。

(長女小夏が4歳のときの出来事)
家に近い太古城のあるパン屋さんでのこと。私と次女(1歳)は店の中には入らず、表で待っていることにした。小夏は20ドル札をにぎりしめ、ちょっと緊 張している様子だった。「こなちゃん、お願いしますね」と私はさり気なく声をかけた。ドキドキしながら小夏の初めてのおつかいが始まった。大人の影に隠れ てしまうぐらい小さい小夏。果たして、きちんとお目当てのパンを買うことができるだろうか。
彼女の買おうとしているチーズパンは棚の一番上の段に置いてあるため、店員さんに頼んで、取ってもらわなければならない。店内にはお客さんもたくさんい る。そんな中で、小さい小夏は、一生懸命手の空いていそうな、かつ優しく彼女に対応してくれそうな店員さんを見つけ、広東語で「チーズパンください」と 言っているのが、外にいる私の目に入ってきた。 彼女の要求は受け入れられた。お金も払い、お礼をきちんと言って、私のところに戻ってきた彼女の顔は自信と満足感に満ちていた。「よくがんばったね!こな は一人でお買い物できたね!」私は精一杯の褒め言葉をかけた。
一人前の仕事をした彼女。今日は社会を少しだけ学んだようだ。子どもは親だけでなく社会にも育てられるんだ。
明日の朝、チーズパンを食べるとき、「小夏が買ってくれたパンはおいしいね」おつかいの余響を楽しめそうだ。

2004年3月5日の日記より
*『はじめてのおつかい』筒井 頼子作  林 明子絵 福音館書店