移動図書館

『窗邊的小荳荳』、『窓際のトットちゃん』の中国語翻訳版だ。娘は日本語のトットちゃんをほとんど暗記するほど精読している。一ページめくっただけで、一言
「何か違う」と吐き捨てた。
「ここのところなんだよね」日本語は、語尾の助詞が口調を和らげているが、中国語はきついんだよねー。

今まで娘は公共の図書館へ行くと児童書コーナーから本を選び、本を借りていた。しかし、今日は大事件が起こった。うちの近所には図書館がないので、週に一回移動図書館がやってくる。移動図書館というものは車なので、積載してくる書籍の総量が少ない。それはまったく問題ない。片面の壁は英語書籍、もう一方の壁面は中国語書籍という分類になっており、スペースの都合で、大人向けの本のお隣りに児童書が配置されている。
娘は貸し出しの手続きを済ませ、何冊かの本を抱えて車から降りてきた。小説ではないか。タイトルをよくよく見ると『愛是你的傳奇』という題がついている。作者は中国人だ。今までは絵本を読んでいたので子供向きがどうかすぐに判断できたのだが中国語中国人作家となると私の守備範囲を超えてしまう。

突然私の脳裏にもしかしたら不倫とか男女のどろどろしたストーリー、もしくはセックスシーンありの官能小説だということも考えられる。帰り道はそのことで頭がいっぱいだった。家のたどり着くころに私の腹は決まった。私は覚悟を持って娘に宣言した。「今日借りた本はお母さんが先に読みます。あなたはそのあとで読んでください。」その瞬間私に向けられた娘のまなざしを敢えて翻訳すると、「大丈夫?お母さん読めるの?期限切れになっちゃうよ!」

こんな形でうちの検閲が始まった。

 

2010年10月8日
ある日の日記より