『たくあん』

またき けいこ さく  かがくのとも2001年11月号
福音館書店

種まきから始まる「たくあんの一生」を大胆な絵でつづった絵本である。
全ページが大根だらけ、大根以外何一つみつけられない。

何でもやってみたい性分である。
漬け物がお店で売っているものだということを知ったのは、大人になってからである。子どもの頃、うちでは母が漬け物を作っていた。
香港の私の自宅の冷蔵庫や棚には所狭しと漬け物ビンが並んでいる。私の漬け物好きは結構有名だ。毎年大掃除の時期になると一年間でたまったガラスビンを一斉処分するため、大量の漬け物を漬け、友達や親戚に配る。空のビンだけでは、誰ももらってくれない。私自身漬け物を食べることにはさほど興味を持っていない。作ることだけが好きなのだ。
だから、私は自分で漬け物を買わない。一番楽しい部分を他人にもっていかれて、その上代金を支払うなんて大損だと思っているからだ。和洋中韓どこの国の漬け物であれやってみたいのである。一度口に入れたものは、舌が直ちに記憶し、すぐに家へ帰りたくなるのが常である。これまで食べた漬け物で甲がつくものは、今はなき、マカオのフラミンゴというレストランの漬け物である。ポルトガル料理を出すいい店だった。メニューにはなかったが、付け出しとして出される2種類の漬け物が最高に美味だった。カリフラワーのピクルス、これには目からうろこが落ちた。早速実験、私はピリ辛の大きいしし唐とカリフラワーのにんじんや、セロリなどを加えて作ってみた。「おいしい!大成功!」この味である。
それから私は、友人に配るため、大量生産に取りかかった。

「横井さん、今回もすごくおいしかった!作り方教えてください」私は急いで材料と分量を書き留めて、友人に渡した。

数週間後、「横井さん、レシピ通りに作ったんですけど、同じ味になりませんよ」これは苦情なのだろうか?困った。私はどうしたらよいのだろうか?
プレッシャーを感じながら、もう一度試してみることにした。
書き忘れがあるといけないので、同じ漬け物を測量、記録しながら作ってみた。やっぱりこの味だ。うちへ訪れた友人に今度は玄関先で味見をさせた。「うーん、この味!」彼女もうなずいている。

結論は作り手が違う場合は同じ味にはなり得ない。これがいわゆる「おふくろの味」なのではないか。

2013年1月9日    ある日の日記より